初めての患者さんは戸惑われることもあるのですが、だいだい接骨院には患者さん用のスリッパがありません。玄関で靴を脱いだら裸足で上がってもらいます。
スリッパを買うお金が無い・・・というわけではなく、理由があります。
スリッパは転倒の原因になる
65歳以上で転倒した経験がある人のうち、約4割が履き物に原因があったというデータがあります。そのほとんどがつっかけサンダルやスリッパが原因として指摘されています。
年配の方や足腰を痛めている方がスリッパを履いて歩くと、つま先が引っ掛かって転んでしまう事がよくあります。
また、スリッパが脱げそうになったり、足がもつれて転倒するケースも多いようです。
実際に私も以前の職場で、スリッパが原因で患者さんが転んでしまった現場を見たことがあります。
そういったことから、転倒のリスクのある履き物はやめてしまおうというのが理由の一つです。
衛生面を考えて
不特定多数の人がスリッパを使い回すのは衛生的に良くないですし、あまり気持ちの良い物ではありません。
夏場になれば素足のままスリッパをはく患者さんもいらっしゃいます。
スリッパの出し入れをする際に手で直接スリッパに触るのも好ましくありませんね。
紫外線殺菌の機械や抗菌スリッパなどもありますが、タオルと違い毎日丸洗いできるものでもありません。
患者さんに清潔に過ごしてもらうために、雑菌の温床になるスリッパはやめることにしました。
もちろん、床の掃除は毎日、朝と昼、徹底するよう心がけています。
歩き方を見るため
患者さんの歩き姿からはいろいろな情報が伝わってきます。
姿勢や重心の移動、動きのクセ、どこをかばっているかなども見て取れます。
スリッパをはいているとかかとが浮くため、どうしても「すり足」での歩行となってしまい、患者さんの状態が判断しにくくなってしまいます。
治療の前後で動作の変化をみる際や、テーピングの具合を確認する際もスリッパは邪魔になります。
また、腰や首を痛めている方にとっては、スリッパの脱ぎ履きの動作も大きな負担になります。
裸足が快適な接骨院
患者さんに気持ちよく過ごしていただくために、床板には柔らかい種類の木材を選んで厚く張っています。
柔らかい木は傷がつきやすいですが、膝などの関節への負担が少なく、冬場もあまり冷たさを感じません。患者さんにも「ここ床暖入ってるの?」とよく聞かれるほどです。
私も足が冷えるタイプですが、家族共々、冬も靴下を履かずに過ごせています。
移転前の接骨院は床がコンクリートで固く、冬は冷たかったのですが、それでもスリッパが煩わしいと言って履かない患者さんもいらっしゃいました。移転を機にスリッパはやめて、裸足で快適に過ごしてもらえればと考えてみましたが、いかがでしょうか。