だいだい通信

膝の水を抜くとクセになる⁉

 よく、お膝の痛い方が「水が溜まった」と言いますね。

 病院では溜まった水を注射で抜いたりしますが、「水を抜くとクセになる」という話を聞いて注射を嫌う方もいらっしゃいます。

 注射をするとクセになるのは本当なのでしょうか?

そもそも「水が溜まる」とは?

 関節は関節包という丈夫な膜につつまれています。関節包の内側は粘膜になっていて、関節の中へ粘り気のある液を少量だけ分泌しています。

 この粘液は関節の摩擦を軽減したり、軟骨に栄養を与える重要な役割があります。

 ですが、炎症を起こすようなケガをしたり、軟骨が減ってきたりすると、炎症が関節包にまで広がって正常な粘液の分泌ができなくなり、サラサラした水っぽい液体をたくさん出すようになります。 

 水が溜まった状態は「関節水腫(かんせつすいしゅ)」といいます。風邪や鼻炎になるとサラサラの鼻水が出るのと同じですね。これも鼻の粘膜の炎症反応です。

 サラサラ液は正常な粘液とは成分が違うので、関節の保護や栄養などの役割を果たしません。

 その上、関節を内側から膨らませて圧迫するので痛みの原因にもなります。関節包には神経がたくさんあるので、水が溜まって圧迫されるととても痛いのです。

 膝以外の関節にも水がたまることはありますが、膝は人体で最も大きな関節なので溜まる水も多く、腫れが目立って見えます。

注射はクセになるのか?

 病院に行くと注射で溜まった水を抜きますが、クセになってしまうということはありません。

 たまりすぎた不要な水は、血が混じっていたり濁っていたりしますから、抜いてあげた方が良いのです。

 風邪の時のサラサラ鼻水をこまめにかむのと一緒ですね。余分に出過ぎた不要なものは、掃除してきれいにしてあげないといけません。

 水を抜くからクセになるのではなく、炎症が治まっていないから水が出続け、何度も注射で抜く必要があるという事です。

 
 ただ、注射は万能の治療というわけではなく、感染症によって関節内部が化膿するリスクがあったり、何度も繰り返し注射すると薬の影響で軟骨がもろくなるといったデメリットもあります。

 

  膝に水がたまるという事は、炎症を起こすきっかけとなった原因があります。その原因はケガであったり、加齢に伴うものであったり、支える筋力の低下であったり様々です。その場しのぎではなく、それらの原因を見つけて改善していく必要があります。

 ちなみに、少し水がたまった程度であれば自然に吸収されて無くなります。新鮮な粘液を分泌しながら古い液を吸収するサイクルがあるので、身体の治癒力を盛んにすることで回復は早まります。

 注射で水を抜くのは嫌だという方は、一度ご相談ください。