あなたの運動が逆効果にならないために
適度な運動やセルフケアは、健康の維持だけでなく治療の面でもとても重要です。
ただ、良かれと思った運動がケガの原因になることもあります。
そこで、運動の際に気を付けて欲しいポイントとして、
動かした方がいい関節と、逆にあまり動かされたくない関節のお話をします。
☆☆☆ あまり動かされたくない関節 ☆☆☆
【腰】当院では「腰痛は動かして治す」と患者さんにお話をしています。
と同時に「腰痛改善のために腹筋運動はしなくてもいい」とも言っています。
矛盾するようですが、理由を説明していきましょう。
ぎっくり腰などはある期間を過ぎたら、安静にすることで治りが遅くなることがあります。
ずっと腰をかばい続けたりコルセットで固めたりせず、治療をしながら、怖がらずに普通の動作を心がけ、動きに慣らしていく事で元の状態に早く戻るのです。
一方、腰の関節は小さな関節の集合体なので、大きな動きを繰り返すことで組織を痛めやすい構造になっています。
特にひねる動きは苦手です。
腰痛を改善させようと上体起こし(腹筋運動)や上体反らし(背筋運動)を頑張る人も多いですが、やり方を間違うと腰を痛めてしまう結果になります。
つまり、安静にしすぎるのは良くないが、間違った方法で運動するのはもっと良くないという事です。
もちろん、腰に負担の無いトレーニング法がありますので、当院ではそちらを指導しています。
【首】首の骨は腰よりさらに小さな関節の集合体で、大事な神経や血管の通り道にもなっています。
ですから肩こり解消にと首を回したりポキポキ音を鳴らしたりするのは首の関節を痛めるだけでなく、神経を傷つけたりする危険もあります。
しかも、首を回しても肩こりの筋肉はあまり動かないのでストレッチ効果も薄く、姿勢も改善されません。
【手首】繊細な動きをする指の腱が何本も通るデリケートな関節です。
ストレッチをするくらいなら問題はないですが、手首に重量がかかるトレーニングや、繰り返し大きく動かすお仕事をされる方は手首を痛めやすいので注意が必要です。
パソコンやスマホ操作で手首に角度がつくような習慣があると腱鞘炎にもなりやすいです。
各種スポーツでも手首を酷使するようなフォームは長引くケガのもとです。
☆☆☆ 動かした方がいい関節 ☆☆☆
【肩】肩は人体で最も広く動く関節ですが、日常生活ではその動きの範囲をほとんど使っていません。
そのため、肩こりになったり、関節が固まって五十肩になったりします。動かすときのコツは、腕が耳に付くくらい大きく手を挙げたり、普段やらないような動作をすることです。
肩甲骨と連動させてフルに使いましょう。
【胸郭】胸郭(きょうかく)とは、背骨と肋骨に囲まれたスペースの事です。背中と胸の事ですね。
大きく動く部位ではないですが、胸郭の柔軟性はスポーツにおいてとても重要です。
よく「体幹を鍛える」「体幹を使う」と言いますが、これは胸郭の柔軟性とコントロールがカギです。
腰の関節が苦手とするひねる動きも胸郭が担っています。
胸郭の動きが悪いと腰に負担がかかったり、姿勢の悪化や肩こりにも影響します。
【股関節】座っている時間が長いと固まりやすいのが股関節です。
肩関節と同じく、うまく使えていない人が多い関節です。
腰から膝へ向かう複数の筋肉が股関節をまたいで通っているので、股関節の動きが悪くなると、骨盤に傾斜がついて姿勢が悪化したり、腰痛・膝痛の原因になります。
骨盤のゆがみを気にされる方も股関節の可動範囲が狭くなっていることが多いです。
【足首】スポーツをしている成長期の子の足首が固いと、膝から足裏にかけてトラブルが多発します。
足首は支えとなる安定性と同時に、体重の衝撃をうまく受け流すしなやかさが必要なのです。
当院に来院される学生さんの多くは足の痛みを訴えていますが、足首が固い子供が多いのは西洋式の生活習慣が一因かもしれませんね。
当院ではシンスプリントやオスグッド病などの根本原因を探るために足首の柔軟性は必ずチェックします。
まとめ
関節の構造にはそれぞれ役割があり、動きにも得意不得意があります。
運動をする際や日常生活での動作では、関節の特徴を理解して使うことがケガの防止や効率的なトレーニングに重要です。
だいだい接骨院では、患者さんの目的や症状に応じて、それぞれの関節に適したトレーニング法や効果的なストレッチを指導しています。