当院は だいだい「接骨院」と看板を掲げていますが、【はり師】の国家資格も持っているので、はり治療も行っています。
とはいえ、はり治療に馴染みのない方も多いでしょうから、はり治療についてご説明いたします。
はりの効果には大きく分けて
①血流の促進
②筋肉の緊張緩和
の2つがあります。
これらを調整しながら痛みを和らげたり血液の流れを整えたり炎症を抑えたりするのが はり治療です。
また、経穴(ツボ)と呼ばれる個所を刺激することで得られる身体の反応を健康増進に利用します。
松尾芭蕉も長旅の際に足の三里というツボ(健脚と胃の働きを整える作用がある)にお灸をしたという記述があり、昔はツボを用いた治療は生活に根付いていたようです。
現代でもよく使われる即効性のあるツボ治療として、酔い止め、肩こり、生理痛、歯痛などに効果を発揮します。
ちなみに日本の はりは『鍼(金属で刺激を与えるという意味)』の漢字が使われ、縫い物をする「針」とは区別されます。
治療に使われる鍼
現在日本で使われている鍼はとても細いもので、直径が髪の毛2本分の太さです。
太さや長さは様々ありますが、当院で使っている鍼は直径が0.16ミリという非常に細い鍼を選んでいます。
注射の針はスパッと鋭利な形なので、組織を切るように鋭く刺さりますが、それに対して鍼の先端は松の葉の先のように丸みを帯びていて、刺したときに組織の隙間をかき分けるように入っていく仕組みになっています。痛みを和らげる工夫です。
中国の針は日本に比べて太く長い針が使われる傾向があります。
私は学生時代に中国旅行に行った先輩からお土産で長さ20センチの太い中国針をもらったことがあり、体重100 キロ以上の柔道部の患者さんの坐骨神経痛に中国針を使ってとても効果を発揮したことがあります。
鍼の材質はステンレスが主流になっていますが、一昔前は人体への影響が少ないということで金や銀でできた針が使われていました。
金や銀などの貴金属製の針は高価なので、滅菌消毒して何度も使用します。廃棄する銀の鍼を集めて指輪を作った女性の鍼師もいたそうです。
私も一時期、柔らかい銀製の鍼を好んで使っていましたが、コストが高いので今ではステンレスの鍼を使っています。
ステンレスの鍼は注射針と同じく滅菌パックされたものを一度使用したあと廃棄処分しているので、衛生面や安全面において優れています。
色々な針の形
・毫鍼(ごうしん)・・毛のような細い鍼。一般的に鍼治療といえばこの鍼を指します。
・三稜鍼 (さんりょうしん)・・先端に刃がついた鍼。皮膚を切開して余分な血液を排出します。
・接触鍼(せっしょくしん)・・刺さない鍼です。皮膚をさすったり軽く叩いたりすることで治療します。形はヘラ状のもの、棒状のもの、ローラー状のものなど様々です。
・小児鍼(しょうにしん)・・接触鍼の一種。子供を対象に夜尿症や疳の虫(かんしゃく)などの治療します。
・皮内鍼(ひないしん)・・長さ2ミリ 程度の小さな鍼を皮膚に刺しテープで固定するもの。数日間以上貼ったままで長期的な効果をもたらします。当院では「シール鍼」と呼んで様々な症状に活用しています。(例:ぎっくり腰、寝違え、肩こり、内出血や腫れ、更年期障害、呼吸器疾患、花粉症など)
・灸頭鍼(きゅうとうしん)・・刺した鍼にお灸をつけて燃やす方法です。鍼の刺激に加えて温熱効果が期待できます。
などなど
当院ではご希望の患者さんや鍼の適応症の患者さんなどに鍼治療をご提案することがあります。気軽に取り入れられる「シール鍼」がおすすめです。
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